プロジェクト詳細

意見公募中
JBC00000364
「神戸の須磨海岸を里海に」Suma豊かな海プロジェクト

一般社団法人 須磨里海の会

すまうら水産有限責任事業組合

兵庫県

神戸市

自然基盤
人工基盤
吸収源の新たな創出
吸収源の回復、維持、劣化抑制
水産養殖を含む
【目的】  兵庫県神戸市に位置する須磨海岸は、阪神間で最も多くの人が訪れる海岸で、夏は海水浴などレジャーを楽しむ人々でにぎわうだけでなく、美しい海と砂浜、さらには遊歩道が整備されており、ウォーキングやジョギングをはじめ憩いの場として、年間を通じて多くの方に愛されている場所です。そんな須磨の海もかつては赤褐色で入るのにためらいがありました。それが排水規制などにより近年は夏場でも水は透き通り、見た目にはきれいな海となっています。しかし、今ではあの大きくて美味しかったアサリには育ちにくい海であり、釣りをしても「またテンコチか」と言われていたネズミゴチは、見る機会がめっきり少なくなりました。 海本来の生物多様性や生産性を保ちつつ、きれいな海にもしていかなければなりません。私たちは、須磨の海を地域の人々にとって気持ちが和らぐ憩いの場としつつ、イカナゴ、タコ、アサリ、ノリなど多くの魚介類などの恵みを与えてくれる豊かな海である「里海」の実現を目指し、それを持続可能なものとするために活動しています。しかしながら、「里海」の実現には、私たちだけでなく多くの市民に海への関心を持っていただき、海がもつ多様な恵みへの理解を深め、一人一人が行動に移すことが大切だと考えています。 「Suma豊かな海プロジェクト」は、そのきっかけになる取り組みを行うことを目的とします。海の恵みを実際に感じることができるように、アマモの植栽などのブルーカーボンの取組みや、海岸の清掃活動などの環境保全活動を行っています。また、海がもつ生物多様性の恵みについて理解を深めるため、一年を通じて親子を対象に里海教室を開催したり、アサリが育つ海への取り組みを学ぶ活動や調査、そして地引網などの漁業を体験するなど、海に関わる様々な活動をすることにより、海への関心をもつ人を増やそうとしています。このように「里海」の実現に向けて、官民連携して各団体が活動しています。 【経緯】 2010年 須磨海浜水族園が須磨海岸の生物調査・アサリの再生活動等の里海活動の準備を開始. 2014年 すまうら水産有限責任事業組合(以降、すまうら水産)を設立し、須磨海岸の環境保全とにぎわい創出による地域貢献活動を実施.2016年 水族館が事務局となり、地域の漁業者や海が好きな市民団体・個人による「須磨里海の会」を結成 .2017年 神戸市が須磨海岸西側部分の遠浅化工事を完了.2020年 須磨里海の会が人工海浜での藻場再生創出活動に着手.2021年 瀬戸内法の改正を受けて瀬戸内海環境保全基本計画変更.2022年 すまうら水産・須磨里海の会・NPO法人神戸うみさくら(後援:兵庫県・神戸市)にて「Suma豊かな海プロジェクト」を始動.2022年 第41回全国豊かな海づくり大会兵庫大会開催を、兵庫県が主催.2023年 ひょうごブルーカーボン連絡会議の設置、豊かな海づくりを引き継ぐひょうご豊かな海づくり推進会議の設置、神戸市による須磨海岸のブルーフラッグ認証継続、子どもを育むスマハマプロジェクト継続など地域の方向性に合致し、プロジェクトは現在に至る。 【申請対象藻場】 須磨の海には、以下に示すとおり、兵庫県や神戸市が人工海浜や海づり公園、漁場を整備したことにより、太陽光の届く浅場に藻場が形成されやすい基質となっています。また、すまうら水産や須磨里海の会がワカメ等の養殖やアマモの播種などを行い、海藻類や魚介類が生息しやすい藻場が広がり、豊かな生態系の創出向けて行動しています。この藻場は、以前は申請対象の海藻類が生息しない場所であり、整備や活動により藻場が拡大しました。しかし、近年の水温上昇に代表される環境変化により、気象の激甚化や生息種の変化により磯焼けの誘発につながる事象が生じており、藻場の維持や再生活動が重要になっている。 (1)須磨海岸離岸堤沖の築磯増殖場(2003(平成15)年兵庫県整備) (2)ノリ養殖場.【クレジット取得の理由】  豊かな海の実現には、多様な主体の関心と協力が必要であり、水産関係者などの海洋に関わる業務に携わる人々だけでなく、環境政策に関心のある方など様々な人々を巻き込んでいく必要があります。そのため、本クレジット取得により、市民に私たちの取組みを発信するとともに、須磨の海の恵みを知ってもらいたいと思います。 また、今後さらなる須磨の海のブルーカーボン増大を図るため、必要な調査、保全活動および啓発の資金として、クレジット化による支援を期待しています。 【クレジット取得後の計画】 ・アマモ場の拡大  須磨海岸は、東西約2㎞に及ぶ養浜海岸とその西方に位置する半自然海岸で形成されています。その大半は南に開放的な海岸で、浅い場所はもともと不安定な砂地が多くを占めていました。一方で離岸堤や突堤により波風から守られた一部のエリアは、現状でも安定的な砂泥地となっています。そのような場所にアマモがみられますが、持続的な藻場ではありません。自然の種子の供給は、東西の潮汐流が担っていると考えられます。周辺沿岸においても、比較的安定的な砂地が断続的に存在していることから、須磨海岸の一角にアマモの核藻場を創出するとともに、他のアマモ場育成を担う団体と連携することで、広域的にアマモを広げることも可能だと考えています。現在実施している播種及び移植試験を継続することで、適切な播種及び移植方法を明らかにするとともに、アマモが生育できる環境改善を行い、さらに豊かな生態系を創出することを目標とします。 ・岩礁藻場における藻場の繁茂促進 同様なことは岩礁藻場でも言えます。昨今の透明度の向上により、食害を受けにくい冬季から初夏に生育する一年生のワカメ場が、消波ブロックや潜提などの人工基質に高密度で生育しています。これに加え、同じ一年生のガラモ場(アカモクやタマハハキモク)や多年生のカジメ場が見られますが、ともにその藻場は生育量、群落構成年級群及び生育範囲に年や季節により大きな変動がみられ不安定です。そのため生育状況や特性を調査により明らかにし、当該地先に適した移植等により安定的に形成されるようにすることで、当該地の藻場面積の拡大と単位面積当たりの生産量の増大につなげられると考えます。このように、クレジット取得後も須磨の海を中心に主に大阪湾岸や兵庫県内の関係団体と連携し、CO2の吸収源を拡大するブルーカーボン事業の推進と豊かな海づくりの実現を行っていきます。 現在、兵庫県では産学公民による「ひょうごブルーカーボン連絡会議」を創設し、団体間の情報交換、専門家からの指導・助言および企業との連携を進め、藻場等の再生・創出を促進するとともにブルーカーボンのクレジット化を実現するためのプラットフォームを稼働させています。また、大阪湾岸には、20年を超える大阪湾再生計画を議論し実践させる場もあります。これまで大阪湾の環境再生に高いボランティアスピリッツで働いてきた人々が高齢になり、社会は未来志向で環境への意識の高い若者を育成する気運に満ちています。今育ちつつある多くの若者とともに、多くの市民からの賛同を得て里海活動を広げ、本計画の実現に向けて進めていきます。そのためにも、須磨海岸で組成された団体が一丸となり、『「神戸の須磨海岸を里海に」Suma豊かな海プロジェクト』を進め、計画の達成に向けて行動を続けていきます。※令和7年度はアマモ、ガラモ、ワカメ及びアオサ等その他の藻場の調査範囲の拡大ならびに調査及び再生手法の開発を行っており、結果の整理に時間を要しています。そのため、カジメ藻場とノリ養殖による二酸化炭素吸収量のみを申請します。
平成22年4月1日~現在