プロジェクト詳細

意見公募中
JBC00000344
長崎県新上五島町(上五島地区・有川地区)における藻場再生・保全活動

新上五島町

自然基盤
吸収源の回復、維持、劣化抑制
□プロジェクト開始前の状況およびプロジェクト立ち上げの理由 本プロジェクトの対象となる藻場は、新上五島町に位置する上五島地区大串崎地先と有川地区小河原地先及び横浦地先である。 かつて、上五島町漁協及び有川町漁協の周辺海域には多年生、1年生の大型海藻類からなる藻場が豊富に分布し、これを餌とするアワビやサザエが重要な漁業資源であった。しかし、2000年以降になると磯根資源の餌場であった豊かな藻場は、磯焼け現象により徐々に消失していった。とりわけ、クロメやホンダワラ等の多年生の大型海藻はほとんど無くなり、1年生のホンダワラ類が湾奥内でわずかに見られる程度に衰退した。温暖化の影響により、海水温が徐々に上昇しており、それに伴って植食性動物の活動が活発になったことが原因と考えられた。 そのため、磯根資源を漁獲し経営を続けていた上五島町漁協の潜水部会メンバ―により、2000年頃から、上五島地区祝言島においてフ―カー式潜水により食害生物である「ウニ類」の駆除を徹底的に実施することで、海藻回復を図ってきた。大串崎地先での取り組みは、潜水部会のメンバ―がかつて漁業をしていた活動地域が道土井漁港を中心とするエリアであり、かつての好漁場を回復させたい意思があったことから始まった。2015年からは毎年6~7月頃に、上五島町漁協潜水部会のメンバ―全員によるウニ駆除を実施。小さなウニは、海中で潰し、大きなウニは取り上げて一般廃棄物として最終処分場で処分している。2020年頃から徐々にではあるがこれまで見られなかった小型褐藻類(アミジグサ)が繁茂するまでになった。また、繁茂しているアミジグサを採取して、他海域へ母藻投入し拡大を図っている。 また、磯根資源の漁獲や定置網漁業への影響を防ぐために、有川地区漁業集落有川支部のメンバーにより、2010年頃から漁場の生産力向上に関する取り組みとして、小河原地区の地先海域において、毎年、素潜りやボンベ潜水により海藻の外敵であるガンガゼの駆除等を実施してきた。それにより、最初は小型褐藻類が繁茂するようになり、その後南方系のホンダワラ類が繁茂するようになった。 また、横浦地区においては、長崎大学水産学部海洋イノベーション機構がアマモの繁茂を促進するために2021年5月から、対象海域の海底にある海洋ゴミの回収を行い、徐々に繁茂範囲の拡大と被度が向上するようになった。 □プロジェクト開始後の活動内容 このような動きを更に加速させるため、持続的な藻場再生を目指すには、地域・民間事業者を巻き込んださらなる協力体制を構築する必要があり、活動の加速と拡大を図るべく2024年に「新上五島地区藻場再生・保全活動組織」を設立し、有川町漁業協同組合、上五島町漁業協同組合、新上五島町役場水産課、長崎大学水産学部海洋イノベーション機構、株式会社E-SYSTEM、株式会社東陽テクニカ、並びに有川地区漁業集落、上五島地区漁業集落の構成により、地先における海草や藻類の再生・保全を図ることで海洋生態系に取り込まれる炭素(以下「ブルーカーボン」という。)の吸収源対策に資することを目的とした協議を進めてきた。
2015年~現在