プロジェクト詳細

意見公募中
JBC00000340
明石市江井島周辺を中心とした藻場造成「アマモは海のゆりかごだ!」プロジェクト

江井ヶ島漁業協同組合

東洋建設株式会社大阪本店

特定非営利活動法人アマモ種子バンク

自然基盤
吸収源の新たな創出
【プロジェクト開始前の状況】 本プロジェクトは、兵庫県明石市の東播海岸の一部である江井島海岸と谷八木地先および魚住地先で活動している。東播海岸は波流れの影響が強い侵食海岸で、1961年に旧建設省により東播海岸保全施設整備事業が開始され、以来、護岸整備、離岸堤の築造、養浜と突堤築造の順で整備されてきた。 プロジェクトの発端は2001年11月に東洋建設(株)が播種によるアマモ場造成法の技術開発の一環として、江井ヶ島漁業協同組合の協力を得て谷八木地先のアマモの被度0の区画でアマモ場造成を実施したことである。当時のアマモ場の状況は、波が遮蔽された離岸堤背後に点在している程度であった。造成したアマモ場は以後10年余りにわたる追跡調査により年々、生育密度が増大するとともに、周辺のアマモ場も拡大したことが認められた。 一方、江井島海岸では、江井ヶ島漁業協同組合(注)の漁業者によると、1988年および1989年に実施された養浜以前にはアマモ場は存在せず、養浜により人工海浜が整備された後に自然に群落が形成されたとのことである。(注:江井島と江井ヶ島は公的に両方使用されている。海岸は江井島、漁協名は江井ヶ島で正しい) この江井島海岸および谷八木地区等に形成されたアマモ場を対象に、当初は水産資源の回復や海域環境の保全、アマモ場造成に関する技術の研究と開発、関連する環境保全活動を通じてアマモ場の保全の普及と啓蒙を目的に、江井ヶ島漁業協同組合、NPOアマモ種子バンクおよび東洋建設株式会社が緩やかに連携しながら三者三様の活動を実施していた。 【プロジェクト立ち上げの理由】 この江井島海岸および谷八木地区等に形成されたアマモ場に関する三者の一連の活動を、Jブルークレジット制度の発足を機に、CO2吸収源の回復や拡大を主眼に置いた活動に再編し、Jブルークレジットの認証取得とクレジットの活用を目指したプロジェクトとして再構築した。 【プロジェクト開始後の活動内容の説明】 江井ヶ島漁業協同組合では、水産資源の回復や海域環境の保全のため、海底ゴミ・浮遊ゴミの回収、砂浜・港湾清掃等を長年実施している。小学校への出前授業である地引網によるアマモ場周辺の生物調査時に、アマモの食害生物(アイゴ等)を駆除してアマモ場の保全を図っている。また漁業をする傍らアマモの生育状況を観察し、漁獲高による生息生物の確認を続けて、主観的ではあるが漁獲高とアマモを関連付けて考えている。 NPOアマモ種子バンクでは、2011年より江井ヶ島漁業協同組合の協力の元、江井島海岸で採取したアマモの種子を養生保存し、ルール※)に則り希望者に提供して、各所のアマモ場の創出に寄与している。また、地引網によるアマモ場の生息生物の四季調査も実施しており、その際にアマモの食害生物を駆除している。 東洋建設株式会社では、先述の通り2001年11月にアマモが点在していた谷八木地先の被度0の区画で播種によるアマモ場造成を実施した。その後の継続調査を江井ヶ島漁業協同組合、NPOアマモ種子バンクと協力して実施し、アマモ場面積の拡大を確認してきた。2011年以降は、江井ヶ島漁業協同組合所属の漁業者を中心に、アマモの生育状況、漁獲高による生息生物の確認を続けている。また、Jブルークレジットの認証に必要なアマモ場調査に関して、簡易かつ効率の良いアマモ場調査方法の実装に向けた研究開発を実施している。 更に直接的なアマモ場の創出、回復、維持、劣化抑制のため、2022年12月には東播海岸で比較的アマモが少ない魚住地先で、播種によるアマモ場の拡大を図った。また、2024年1月さらには2024年12月にも江井島海岸、谷八木地区、魚住地区でアマモの播種を行い、アマモ場の回復、維持、劣化抑制を図っている。 ※)藻場の復元に関する配慮事項(環境省、2004)の「遺伝的攪乱の防止」およびアマモ類の自然再生ガイドライン(水産庁・マリノフォーラム21、2007)の「アマモの遺伝的多様性を基に設定した種苗の移動禁止ライン」 【申請プロジェクトがCO2吸収源の回復や拡大も目的としていることの説明】 江井ヶ島漁業協同組合、NPOアマモ種子バンクおよび東洋建設株式会社ともにその経済活動においてカーボンニュートラルの実現に向けた対応の必要性を認識しており、本プロジェクトの中心に位置するアマモ場についてもCO2吸収の役割があることから、従来の水産資源の回復や海域環境の保全といった目的に加えて、CO2吸収源の回復や拡大も目的に位置付けている。
2001年11月~現在