Jブルークレジット運用システム
意見公募中プロジェクト
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プロジェクト詳細
ステータス
意見公募中
プロジェクト管理番号
JBC00000328
プロジェクト名
陸奥湾蓬田村の漁業者とともに取り組むアマモ場の保護・造成活動
代表申請者 団体名
蓬田村漁業協同組合
共同申請者 団体名
蓬田村
共同申請者 団体名
八戸工業大学
共同申請者 団体名
志田内海株式会社
プロジェクト区分
自然基盤
吸収源の回復、維持、劣化抑制
プロジェクト情報
・プロジェクト開始前の状況 アマモ群落は、陸奥湾で藻場生態系を形成し、アイナメの産卵場、ホタテガイの発生場、メバル類の稚魚やマダイの幼魚などの育成・涵養場、カレイ類の生息・索餌場、ナマコの夏眠場、ウニの餌料などとして陸奥湾の漁業を支えている。また、底質の安定、酸素供給、水質浄化などとして沿岸の市民生活にも重要な役割を果たしている。環境省は、陸奥湾には一つの海域として最大のアマモ場が形成されていると報告しているが、同時にアマモ場の消失面積も最大であることを指摘している。 一方、陸奥湾ではナマコが年間20〜30億円(蓬田村では数千万円〜1億円)前後漁獲される主要な魚種の一つとなっている。ナマコは、アマモ群落中に高密度に生息するため、アマモ場でナマコの桁曳漁業(小型汽船底曳網漁業)が一般的に行われている。しかし、桁曳漁業では、操業によって多量のアマモ類草体を混獲するほか、葉や地下茎、根を損傷し、群落を破壊する。このことが、陸奥湾のアマモ場の主要な減少要因のひとつとされている。 また、陸奥湾では年間150億円(蓬田村では6〜10億円)前後の養殖ホタテガイが収穫されているが、夏場の高水温によって深刻な斃死被害や成長不良が頻発するようになった。このため、ホタテガイ養殖漁業者は、海水温上昇の主要な原因である地球温暖化やその対策としてのブルーカーボンに強い関心を持つようになった。 ・プロジェクト立ち上げの理由 蓬田村漁業協同組合では、浅場のアマモ場に稚ナマコや稚魚が生息していることから、平成18年12月に水深6m以浅(のちに水深7m以浅に拡大)での桁曳漁業の操業を禁止し、アマモ場を保護するようになった。さらに、ナマコ種苗生産試験に取り組む若い漁業者を中心に、アマモ場が稚ナマコの生息場としての役割のほかに、二酸化炭素吸収源となって地球温暖化の緩和、即ち、養殖ホタテガイの高水温による斃死対策に貢献する役割もあるとの認識が組合員の間で共有されるようになった。 蓬田村漁業協同組合では、養殖ホタテガイとナマコの2魚種で漁獲金額全体の98%以上を占めていることから、それら魚種の持続的、安定的生産が必要不可欠である。これを受けて、2021年から蓬田村の支援を得て、弘前大学や八戸工業大学のアマモ研究者、青森県青森地域県民局東青地方水産事務所の水産普及員、アマモ場づくり活動の実績があるNPOあおもりみなとクラブ、志田内海株式会社と連携してアマモ場の保護・拡大プロジェクトを立ち上げることにした。 ・プロジェクト開始後の活動内容の説明 蓬田村漁業協同組合がプロジェクト開始後に、青森県、蓬田村、大学、NPOなどと連携し、以下の活動に取り組んだ。 1 アマモ場の保護 蓬田村漁業協同組合では、平成18年12月から水深6m以浅(のちに水深7m以浅に拡大)での桁曳漁業の操業を禁止し、アマモ場を保護してきた。 2 アマモ場づくりの活動 蓬田村漁業協同組合の若手を中心とする漁業者と県、村、大学などが協働でアマモ場づくり活動に取り組んだ。詳細は添付ファイルを参照。 (1) 2021年度 2021年12月21日にスゲアマモ種子を漁港に設置した10トン水槽に播種し、種苗生産に着手した。2022年7月1日に水槽中での種苗の生長状況を観察し、8月27日に草丈15センチ前後に生長した栄養株を蓬田漁港沖にあるアマモ・ナマコ育成礁の内外に移植した。2023年3月21日に移植した栄養株の生育状況を観察した。 (2) 2022年度 2022年6月22日陸奥湾地先から採取したスゲアマモ花枝を7月1日に10トン水槽に移し種子採取に着手した。11月17日に篩を用いて種子を採取し、砂を敷き詰めたパレットに播種し、同じ10トン水槽中に戻して種苗を育成した。2023年3月21日に生長した種苗の一部を蓬田漁港沖にあるアマモ・ナマコ育成礁の内外に移植した。残りの種苗については、水槽中で育苗を継続したが、6月以降に草体に珪藻の着生するようになり、多くの草体が枯死したため8月12日に育苗を中止した。 3 漁場環境の保全活動 蓬田村漁業協同組合は、毎年7月に蓬田村沿岸の清掃活動に取り組み、漂着した漁業系廃棄物などを回収してきた。 4 アマモ場と海洋環境保全の啓発活動 蓬田村漁業協同組合は、2021年9月10日、2021年12月21日に弘前大学地域戦略研究所教授を講師に招き、漁業者を対象に海洋環境やアマモ場についての研修会を開催した。 5 アマモ場の保護効果の評価と二酸化炭素吸収量の定量化 2024年に蓬田村瀬辺地地先のアマモ場について、面積や桁曳禁漁による保護効果、アマモ場による二酸化炭素吸収量の定量化を試み、2025年3月に10.7 ton-CO2のJブルークレジット®の認証を受けた。 6 その他 蓬田村漁業協同組合福田伸吾副組合長はこれまでの一連のアマモ場づくり活動を2024年1月24日に青森県青年・女性漁業者交流大会において報告し優秀賞を受賞し、さらに、2025年3月4日には全国大会にて農林中金理事長賞を受賞した。 ・申請プロジェクトがCO2吸収源の回復や拡大も目的としていることの説明 蓬田村漁業協同組合の組合員の大半はホタテガイ養殖に従事しているため、海水温の上昇による養殖ホタテガイの斃死や成長不良の被害を直接受けている。このため、多くの漁業者が地球環境、特に温暖化対策に強い関心を持っており、本プロジェクトが地球温暖化の緩和や防止に一定の役割を果たすことを理解し、期待を持ってアマモ場の保護やアマモ場づくりなどの活動に、取り組んでいる。
プロジェクト実施開始日 (プロジェクトを始めた日付)
2006年12月6日~現在
プロジェクト実施場所
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