プロジェクト詳細

意見公募中
JBC00000250
姫路市網干地区におけるカルシア改質土を活用した藻場造成

五洋建設株式会社

姫路市漁業協同組合網干支所

日本製鉄株式会社

人工基盤
吸収源の新たな創出
兵庫県姫路市網干地区は揖保川からの浮泥が海底に堆積しており、網干地 区の埋め立て以降、漁獲量の減少している海域であった。当該海域調査の 結果では、海底面の底質粒度は粘土分が47.7%、シルト分50.6%の細粒土 であり、大型海藻類の生育は確認されなかった。このため、網干地区土砂 処分場の護岸沖合の水深O.P.-6.8m~O.P.-8.0mの海底を水深O.P.-2.5m前後 まで嵩上げして浅場を造成することで、藻場の形成や漁場の再生を目的と したプロジェクトを実施した。 浅場造成に関しては、計画に対する助言・指導を姫路市漁業協同組合が、 計画検討を日本製鉄(株)が行い、五洋建設(株)がカルシア改質土による浅 場造成の施工を実施した。カルシア改質土とは、軟弱な浚渫土と製鋼過程 で発生する転炉系製鋼スラグ(カルシア改質材)を混合して改良した環境に 優しい材料であり、浚渫土の強度増進や濁りの抑制、底質の浄化効果を持 つ。 本施工では、日本製鉄(株)瀬戸内製鉄所の航路浚渫土とカルシア改質材を 混合して改良したカルシア改質土を活用し、2015年に実験として延長70m ×岸沖35mを造成した(工区その1)。その結果、浅場の安定性・耐久性、 水質・底質環境への安全性が確認されたため、漁場としての有効性が期待 できることが判明した。その結果を踏まえ、更なる浅場の規模拡大による 漁場としての効果を発現させるため、2017年に工区その1の南側護岸沿い に210m×岸沖70mの浅場造成(工区その2)、2018年に工区その2の南側護 岸沿いに延長77m×岸沖70mの浅場造成(工区その3)を実施した。造成され た浅場面積は、法面含め約4.0haであった。カルシア改質土での浅場造成 後、天然石や鉄鋼スラグ水和固化体製の人工石で被覆し、海藻の生育環境 を整えた。 浅場造成前は海底面に泥が堆積しており、濁りにより見通しは無く、光の 届かない環境で海藻の生育は確認されていない状況であった。しかし、浅 場造成後には水質も向上しており、近辺の海域からワカメ等の胞子が流入 して着生したことにより、ワカメの生育も確認されている。そして、姫路 市漁業協同組合が定期的に当該海域の監視、漂流物除去、清掃活動等の実 施と漁獲物の調査も行っている。 2017年の漁獲量調査のための試験操業では、主にカサゴやマダコ、メバル 、ナマコ等が漁獲された。このため、漁業者は主にかご網漁場として現在 も活用している。2018年に実施した調査では、藻類は増加(ワカメ、ケウ ルシグサは造成浅場近接の既設護岸と同等)、マクロベントスも増加(種数 :2.6倍、個体数:5.8倍、湿重量:2.8倍)していた。
2015年4月1日~現在